明治座創業140周年記念『坂本冬美 藤あや子特別公演』初日開幕

1日(土)演歌歌手の坂本冬美と藤あや子がダブル座長となる明治座創業140周年記念『坂本冬美 藤あや子特別公演』の初日を迎え、二大歌姫が夢の共演となった。

 

第一部の『おさんとおしの』の原作は、山本周五郎の名作時代小説『さぶ』。原作の江戸下町の経師屋に住み込み働く「さぶ」と「栄二」の成長物語という設定を、二人の娘「おさん」と「おしの」の物語に置き換えて上演。小料理屋で働く不器用だが心優しいおさん(坂本)は、器量がよくしっかりもののおしの(藤)を姉のように慕い、お互い助け合う姿など、シリアスなストーリーに涙を誘う場面も。 (写真提供:明治座)

(写真提供:明治座)

 

第二部の『冬美とあや子の麗しのショータイム』では、二人の持ち歌の他、60年代の懐かしいヒットメドレー。『星のフラメンコ』では、振り付けに集中していた坂本が歌詞をど忘れし「忘れてしまいました」と苦笑い、観客は拍手と声援をおくった。『あばれ太鼓』では、坂本が太鼓を力強く叩き、『夜桜お七』では、壮大な桜のステージに圧巻。台本も打ち合わせがなかったというが、普段から仲の良い二人の息はピッタリ!第一部では、坂本は17歳のおさんを演じるために、藤から「もっとふっくらとした方がかわいいよ」と言われ、藤の手料理を毎日食べさせられたことを暴露し、会場に笑いを沸かせた。二人の新曲(坂本冬美『人時』、藤あや子『わすれない』)も披露された。

(写真提供:明治座)


 

終演後の会見では、藤は「ホッとしています。東京では二人で初めての一ヶ月公演で、始まる前まではプレッシャーがありましたが、冬美ちゃんが傍にいるという安心感があり、このように二人でやれることは幸せだと思います」と初日の感想をコメント。役どころが17歳(坂本)と21歳(藤)ということについては、「三階の方はごまかせるのですけれどね。白塗りしていますから」と・・・。そして、明治座140周年記念の特別公演については「素晴らしい舞台ですし、記念すべき年に二人で上演できて光栄です」と語り、由緒ある明治座での公演がプレッシャーでもあり、シリアスなストーリーで「疲れきってます(笑)。あと40回公演がありますので、気持ちを入れすぎずに、千秋楽まで頑張ります。この辺(明治座付近)には、美味しいものがいっぱいありますので・・・」と意気込み。

 

 

お互いを見て似ているところはと質問されると、坂本は「関節が似ていたり・・・鏡に映った後姿が似ているので、どっちがどっちなのかわからない。でも、微妙な違いがあるんで、双子ではありません。(藤は)ペアのものを作りたがるが、衣装の帯が金と銀で、帯締めとお草履もちょっとずつ違う・・・こまどり姉妹さんを意識して、ドレスの方はザ・ピーナッツさんを意識してペアルック」と笑わせた。

最後に、「人間同士のつながりというか、人とのつながり、縁を大事にしたいなと。それぞれあるドラマ、その中でみんなが強く頑張ろうねというメッセージがあります」 と、見どころをアピールした。

  

 

(取材:野地 理絵)

 

 

第一部「おさんとおしの」

<あらすじ>

おさんとおしのは小料理屋「すみよし」に勤める女中。不器用だが心根の優しいおさん(坂本冬美)は、
器量が良くしっかりもののおしの(藤あや子)を姉のように慕い、それぞれの悩みを抱えながらも助け合って日々を送っている。ある日、「すみよし」の亭主の金袋が行方不明となり、それがおしのの荷物から発見される。おしのは疑いを掛けられ、無実の罪で人足寄場に送られてしまう。人間不信に陥ったおしのは完全に心を閉ざすが、その心を溶かしたのは、人足寄場の厳しい生活の中で出会った人々と、足しげく通うおさん、そして板前の清次であった。やがておしのの無実が証明され、ついに真犯人が明かされる・・・

 

第二部「冬美とあや子の麗しのショータイム」

 

 

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