「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012」長編部門作品 「ワイルド・ビル」デクスター・フレッチャー監督単独インタビュー

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012」の長編部門(国際コンペティション)でデクスター・フレッチャー監督の作品「ワイルド・ビル」が上映され、単独インタビューに応じた。

 

「ワイルド・ビル」

名うての暴れん坊だったダメおやじは、息子たちの信頼を勝ち取れるのか?刑務所から出てきたビルは、息子たちが自分を必要としていないことに気づく。しかし、母親が出て行ってしまった状況で、福祉局から息子たちとの同居を求められたビルは、「父親になる」という現実と直面する。

 

『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』、『キック・アス』などで知られる英国の個性派俳優デクスター・フレッチャーの初監督作品をアジア 初上映。ビル役はチャーリー・クリード=マイルズ、息子役には『ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島』、『リトル・ランボーズ』出演のウィル・ ポールター。

Q:「ワイルド・ビル」という作品に、イギリスの社会事情を取りいれて作られた意図は?

監督:主人公ビルの物語を映画にするのに、ビルの旅を中心に描きたかったので、物語の場所として、私自身ロンドンで育ちましたので、ビルのストーリーにも信憑性を持たせるためにも、私が育った世界で映画にしてみたいと思いました。

 

Q:イギリス旅行したときは、治安も悪くなく良いイメージでしたが、ロンドンにはギャングなどは多いのですか?

監督ロンドンの中でも、イーストランドという場所を舞台にしているのですが、ロンドンはイースト・ウエスト・サウス・ノースと分かれているのです。イーストが一番貧困の差が激しく、貧しい地区なのです。ただし、今年ロンドンオリンピックは、このイースト地域で開かれるのです。勿論、イーストには土地がありましたので、スタジアムも建てられたわけです。映画の撮影中は、スタジアムが建てられている最中でした。元々は貧しい地域でしたが、今になればお金が注ぎ込まれているという事実があるのです。撮影中は、オリンピックへの夢が、建設されているという状態でした。あくまでも彼らがここに(ストラットフォード)住んでいるというキャラクターの話。

 

Q:キャストは、プロの俳優を起用されているのでしょうか?

監督:そうですね、みなさんプロフェッショナルです。だから、いい演技を披露してくれましたね。私自身が40年以上のキャリアなので・・・。

 

Q:子役の演技が面白く、いい演技をされていましたね?

監督:長男役は日本でも上映された映画にも出演していますし、次男役も映画にも数本出演しておりますし、二人ともテレビ出演をはじめ、プロとして経験がある子役ですね。自分自身も6歳から演技をしていますので、子役の気持ちも理解できるように思えます。

 

記者:子供がビールを飲んで、二日酔いで学校へ登校するという設定は?

 

監督:確かに可笑しなシーンでもあるのです。しかし、非常に厳しい現実を垣間見せるような場面でもあるのです。実際、彼らは親がいなくて、長男が仕事をして子供同士で生活をしているので・・・それがいかに難しいかということを伝えたくて、冒頭にあのシーンをいれているのです。

Q:今のロンドンでは、子供たちで生活をするとか・・・そういう社会的な現象はあるのでしょうか?

監督:実は、新聞で読んだ記事が基になっています。ギリシャにバカンスに行った母親が、子供たちを残して行ったという記事を読んだのです。おそらくヨーロッパだけでなく、世界中の問題なのかもしれません。親がこういう形で、子育てを破棄してしまうというようなこと・・・残された子供たちをテーマにして、映画を作ろうと思ったのです。長男は若いにもかかわらず、大人のような責任を抱えている。そして、小さな弟の世話をしているという、完全に大人に成熟している。そして、父親ビルは大人にもかかわらず少年のように、無責任な行動をとるという・・・対比として映画の中で描いたつもりです。

 

Q:撮影での苦労したことやエピソードはありますか?

監督:一番問題だったのは天候でした。撮影の二日前に、突然雪が降り外での撮影ができなかったのです。長男役が病気になり、一週間ほど撮影が中断してしまったのです。

 

Q:俳優から監督として作品を作ってみようと思った意図は?

監督大人なのに子供だったり、子供なのに大人だったりという、二人の男の話を伝えたかったのです。偶然にも、俳優としてBBCのテレビの仕事を終えたときに、空いている期間があり、そこで自分でも何かやってみたいと思ったのです。様々な要素が、いいタイミングで起こった野心ということですね。脚本を読んでくれて、投資家もファイナンスできるよということで撮りました。

Q:今後の活動予定は?

監督:監督としては、9月からミュージカルの映画を撮影する予定です。俳優としては、来年アメリカで西部劇を撮る予定です。実は「ワイルド・ビル」に出演している次男の子役も出演するのです。髭の生えた男が出てきますよ(笑)。

記者:聞いた話ですと、これから京都へ旅行されるとか?

 

監督:今、京都はお祭りをしているというので行ってみようと思います。(祇園祭のことを指す)2、3日京都に滞在する予定です。二年前にも京都へは行っているのです。

 

記者:今回は、祇園祭と他には?

 

監督:妻が全て計画しているのですよ。(苦笑い)妻の仕事はオペラを監督しているのです。随分、京都のリサーチもしているようです。買い物が中心になりそうです。ヨーロッパでは見つけれないものがあるので・・・。仕事をするときは、夫婦別々なのですが、旅をするときは妻と一緒にいるのが大好きなのです。(笑)

 

記者:東京スカイツリーは行かない?

 

監督:行かないですね。前回来日したときは、歌舞伎や寺院など観光客のメインコースを観光しました。今回は、京都で買い物が中心ということで・・・。(爆笑)

 

デクスター・フレッチャー監督のプロフィール

1976年、9歳で映画『ダウンタウン物語』に出演し、その後、『エレファント・マン』『レボリューション・めぐり逢い』、『カラヴァッジオ』、『ジプ シー/風たちの叫び』、『レイチェル・ペーパー』など数多くの映画、舞台、テレビシリーズに出演。『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』 (ガイ・リッチー監督)、『トプシー・ターヴィー』(マイク・リー監督)で一躍注目を集め、近年ではTVシリーズ「ホテル・バビロン」「バンド・オブ・ブ ラザース」や『キック・アス』などに出演。主演を務める公開予定の作品も控えている。

「ワイルド・ビル」は、7月20日(金)に上映が予定されている。

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012」http://www.skipcity-dcf.jp/program.html

 

(取材:野地 理絵)

 


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