『家路』松山ケンイチ・田中裕子感激!!撮影地の福島・いわき市で初日舞台挨拶

 

1日(土)公開、松山ケンイチ主演『家路』の初日舞台挨拶が、撮影地でもある福島県いわき市にて行われた。東京での舞台挨拶を終えてから駆け付けた、主演の松山ケンイチ、共演の田中裕子、久保田直監督が登壇し、本作の舞台であり、撮影地である福島県での公開についてそれぞれが思いを語った。

 

これから作品を観る福島県の観客を前に、松山ケンイチは、「本当に福島の方々には大変お世話になりました。福島の方々の力があってこそできあがった作品です。ホームに帰った気持ちでのびのびとやらせていただきました。すごく自分でも自信がある作品です」とにこやかに話した。また、共演の田中裕子は「公開にこぎつけて思うのは、福島への感謝です。ありがとうございます。」と撮影地となった福島への思いを語った。

『家路』製作委員会

 

 

舞台挨拶中、本作へロケ地提供や農業指導をした福島県川内村在住の秋元美誉氏夫妻が登壇し松山と田中が映画完成の感謝を述べる一幕も。松山の「農業指導をしてくださった哲学者、秋元さんです!」と紹介され、農業指導の秋元美誉さんと妻のソノ子さんが登壇すると、早速松山さんは「映画どうでした?」という問いに、「よかったよ!」と秋元さん。松山は「あ~よかった!ありがとうございます!」と安堵の表情を浮かべ、田中も「田んぼにひかれた水の水面の美しかったことを忘れられません。」と秋元さんの農業指導の思い出をにこやかな表情で語った。また、秋元さんが「俺晩酌好きなんだけど、松山さんと晩酌できなかった」と残念そうにいうと、「すみません、申し訳ないとしか言えない」と松山が応じ、会場は温かい爆笑に包まれた。そして、「(撮影の話を聞いたときは、)まさかこんな川内村の山で、本当にやるのかって信じられなかったです。あと、はじめは2週間ぐらいのロケだと思ったのに、そしたら1か月もかかるんだもん」と、予想外だった撮影の苦労を秋元さんが語り、さらに会場が温かい笑いに包まれた。

そして、最後のあいさつでは、田中は「映画をたくさんの方に見てもらうことはなかなか難しいという思いが私の中にはありますが、一人でも多くの方に見てもらいたいと思う作品です。」と話し、松山は「この作品は家族と故郷をテーマにした作品です。登場人物はそれぞれいろんなものを抱えてますけど、前向きに生きるという姿勢が一貫して描かれていると思います。」と締めくくり、作品の舞台であり、撮影地でもある福島での初日舞台挨拶は、お世話になった地元の方たちへの感謝の報告ともなり、熱気と感動に包まれたものとなった。

 

【他の主なトーク内容】

 

司会:先ずはいよいよ本日初日を迎えましたが、今のお気持ちはいかがですか

松山:本当に福島の方々には大変お世話になりました。福島の方々の力があってこそできあがった作品です。僕自身東北出身というか、青森なんですけど。結構自分の中では、東京の人間を演じるより東北の人間を演じた方が2倍ぐらいよい演技できると僕は思ってるんですけども()。ホームに帰った気持ちでのびのびとやらせていただきました。すごく自分でも自信がある作品ですので、ぜひ楽しんで行っていただければと思います。

田中:去年の6月に久保田監督のもと撮影が始まって、その頃ちょうどヒバリが仮設住宅の空で毎日のように鳴いてくれて、貴重な自然がまだ残っているんだと実感しました。仮設住宅でお世話になったおかあさんたちは、変わりなくお元気でしょうか。夜の撮影の時に「寒かろう」と言って、買いだめていたホカロンをくださいました。チャンチャンコを着ていたおかあさんは、自分のを脱いで私の肩にくれました。ありがたかったです。あと、川内村に行って田植えをさせてもらったんですが、そのときお世話になった秋元さんの田畑とそれを包み込むような里山が本当にきれいで。私もこの歳になって「私はやはり日本人なんだな」って日本が好きなんだなって改めて思った次第です。やはり今、公開にこぎつけて思うのは、福島への感謝です。ありがとうございます。

監督:本当に今日の日を迎えるまで、この映画が本当にできるのだろうか?ということを何度も何度も途中で挫折しそうなときもありました。福島で撮りたいという思いはありましたが、福島で撮影してよいのだろうか。いろんなことを自問自答しながら、時にはだめかもと思いながら、福島の美しい風景や撮岡町などに足を踏み入れたとき、何としても、絶対ここで撮らなきゃだめだという風に思いました。そしてそこから本当に皆様へのご協力を得て映画が完成することができて、今本当に福島で撮ってよかったと心から思っています。ありがとうございます。

 

MC今回、福島を舞台にした作品ですが、作品に出演されたきっかけを教えていただけますか?

 

松山:きっかけは、やっぱり東北の話だからですね()あとはやっぱり脚本が素晴らしいということもありますし、一番自分が大事にしてるのは、今を扱った物語をやるのは、今を生きている人間がやるべきことなので。まさにこの作品がそうだと思ったので、ぜひやりたいなと思いました。3年たちますけども、どこかで風化してしまってる部分があると僕は思ってるので、そういう意味でも今この作品をやる必要性をすごく感じてましたし、だからやりたいというよりも、自分がやらなきゃいけないというくらいまで、考えさせられました。そういう風な作品はいままでなかったですし、今実際できた作品を目の前にして、やっぱりやらせていただけてよかったと思いますし、この作品を通してたくさんの出会い、自分にとってすごく大切な出会いだったので本当に幸せに思ってます。

 

MC:今回、作品のなかでは母と子を演じられていますが、共演はいかがでしたか?

松山:初めての共演でしたが、田中さんと対峙してるだけで、すぐ何十年ぶりかに会ったおかあさんだと、本当に心の底から思えたんですよね。それは、たぶん田中裕子さんの佇まいがそう思わせてくれるんじゃないかなと思いますし、こみ上げるものが自然に出てきたというか。田中さんの前では演技をする必要がなかったというか、そんな感じはすごく印象に残っています。あと、今回、農作業を田中裕子さんと一緒にやるところがありましたが、練習するときも、役者と役者がやってるというより、なんか繋がっている存在と一緒に田んぼに入ってるというような感じがありました。すごく不思議な体験でしたけども、本当に素晴らしい役者だからこそ、自分もひっぱってってもらって、そういう世界観のなかにいさせてくれるのかなって思います。

田中:松山くんとあぜ道に座って、ぼーっと何時間でも田んぼを眺めていける感じがしました。やっぱり麦わら帽子が似合うなって()

 

MC:特に、福島での思い出はありますか?

松山:農業指導っていう方もいらっしゃるんですね。その秋元さんという方の実際の家をお借りして、澤田家の家も秋元さんの家で撮影しています。その秋元さんからは、たくさんダメだしをいただきました。僕が桑で土耕してると「松山君、それだめだよ、愛情こもってないよ」と。「愛情こもってるってどういうことですか?」と聞くと、「口の中に入るものだけに愛情かけるのではなくて、その作物を作る土にもそれを耕す鍬にもすべてにおいて愛情かける必要があるんだと言ってくれたんですね。その言葉にすごく僕は衝撃を受けまして、それって、食べ物とか土とかそれだけではなくて、もっと広い自然界とか人間とか、もっともっと広い意味で愛情をかけるっていうのは、自分が生きていく上でとても大事なんじゃないかと思ったんですね。すごく衝撃を受けまして。で、その考えこそが次郎なんじゃないかなと思ったんですよ。本当秋元さんのご家族の方々にも、昼休憩のときは弁当だったりするんですけど、秋元さんたちがごはんを作ってくれて。ぼくらキャストスタッフのみんなに配ってくれるんですよね。みんなでごはんをワイワイながら食べて。すごくみんなニコニコしながら、忙しく撮影してましたが癒されながらできました。すごくそのおかげで、忙しい撮影も乗り切ることができましたし、おかげで素晴らしい作品ができたと思います。そういう柔らかい川内村の人たちのあたたかさを頂いてこの作品ができて、作品全体をとおして、あたたかい空気として流れていると思います。

 

MC:最後に一言、お願いいたします。

監督:この映画はあえて何も答えを出しておりません。普遍的な家族を描いておりますので、ご覧になったみなさんがご自身に少しでも重ね合わせて観ていただければと思います。

田中:映画をたくさんの方に見てもらうことはなかなか難しいという思いが私の中にはあるんですけど、一人でも多くの方に見てもらいたいと思う作品です。

松山:この作品は家族と故郷をテーマにした作品です。登場人物はそれぞれいろんなものを抱えてますけど、前向きに生きるという姿勢が一貫して描かれていると思います。ありがとうございました。

 

出演:松山ケンイチ、田中裕子、安藤サクラ / 内野聖陽

監督:久保田直 脚本:青木研次 企画協力:是枝裕和、諏訪敦彦

主題歌:Salyu「アイニユケル」(作詞・作曲・編曲:小林武史/TOY’S FACTORY) 音楽:加古隆

製作:『家路』製作委員会 企画・制作プロダクション:ソリッドジャム 

配給:ビターズ・エンド 助成:文化庁文化芸術振興費補助金 WOWOW FILMS

www.bitters.co.jp/ieji

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