東京国際映画祭 コンペティション『ブラインド・デート』記者会見

 

登壇者:レヴァン・コグアシュビリ監督、アンドロ・サクヴァレリゼ(俳優)、オレナ・イェロショヴァ(プロデューサー)、スリコ・ツルキゼ(プロデューサー)

 

レヴァン・コグアシュビリ監督は、ソ連時代に成人した「グルジアの失われた世代」を描いた長編デビュー作”Street Days”が、ロッテルダム国際映画祭の コンペティション部門に選ばれ、グルジア映画の存在感を印象づけた。よりボジティブな物語を語る必要性を感じて作ったのが2作目の『ブラインド・デート』。グルジアの日常と生活を見つめ、ユーモアの重要性を強調する監督は、終始にこりともしないキートン的なキャラクターを主役に据え、そして彼は自分のコントロールの及ばない事態に巻き込まれていく。グルジアの独身男性の婚活をユーモアも含めて描いている。

 

Q:この作品は笑える映画なのに、劇中で流れている音楽(曲)は切なく哀しい曲でした。音楽とストーリーが対照的で印象的でした。この音楽(曲)を使った経緯と歌の歌詞について教えてください?

 

監督:この作品は純粋なコメディではなく、実際の生活を描いたもの。実際の生活はいつも悲劇と喜劇のミックスで、この作品も悲喜劇です。この音楽を選択したのは、作品にもっとも適していると思ったからです。そして、この歌詞はグルジアの有名な詩人・ガラクティオン ダビゼの詩で、秋の風景を詩にしたものです。

 

Q:主人公が車を運転している時に、後車が次々と追い越していく。遅いスピードで安全運転ということは、彼の性格とエンディングの孤立感を暗示しているのですか?

 

監督:今、秘密を明かします。アンドロはこの映画で、初めて運転をしました(笑)。その前に2週間教習所で運転を学びました。たった2週間という期間では不十分で、車はプラットフォームの上にのせられて、実際に運転はしていません。偶然な一致で、それはよかったと思います。

 

アンドロ:全ては監督がおっしゃっていた通りです。主人公の性格も、人生で全ての人に追い越されるような性格だと思っています。監督も主人公を探している時は、運転ができない人であることが望ましかったのです。

 

オレナ:アンドロにとっては、今回初めての演技です。プロの俳優ではありません。普段はライターの仕事をしています。二番手の主人公でもあるイヴァですが、彼も俳優ではありません。プロの俳優でない二人が演じたのですが、プロでないにも関わらず、良い演技をしたと思っています。

 

Q:社会の中で低階層にいる人を、映画の中では避難民と例えていましたが、どこの国から避難してきたのか背景を教えてください?

 

監督:グルジアでは過去20年に渡り、いろいろな紛争がありました。グルジアの各地で紛争があり、最終的にはロシアとの戦いとなっていきましたが、グルジアの中に30万人の避難民がいるといわれています。そして、このほとんどの人が、紛争のため自分の住んでいた所以外に住まわなければなりません。主に首都・トビリシに避難民が多いです。この映画で撮ったのは、実際に避難民の人が住んでいる家なのです。廃工場などに住んでいる避難民の人のエリアです。そして、避難民ということで、経済的な問題を抱えているのです。私達が目標のゴールとしたものは、ラブストーリーなのですが、現代の今のグルジアのいろいろな生活をみせるということがありまして、現在のグルジアにおいて、避難民というのは避けて通れない現実の一部なので、それを描きたかったのです。風景としても映画的で、映画にあうと思いました。

 

Q:映画の中で、一番最初に会ってすぐにホテルの部屋に行くのですが、ホテルの違法とか法律にひっかからないでのですか?例えば、ホテルのカフェなどで会うとかはないのですか?

 

監督:人生の中で何かを探している、よく知らない人が知らないホテルで会うということで、コミュニケーションの問題を描きたかった。このシーンにとっては、あのようなホテルがよいと思ったので、別に法律や宗教問題というわけではありません。グルジアではどのような関係でも、法律では禁止されていないです。あのホテルの青い壁が、とても好きだったことが、あのホテルを選んだ理由です。ホテルでのデートのぎこちなさを強調しました。

 

Q:日本でも主人公のように、30~40代の独身者で親と同居している人達が増えているのですが、グルジアでも同じなのでしょうか?

 

監督:私は40歳ですが、20歳頃は若くして(20~25歳)結婚していました。やはり今は晩婚が多くなっています。これはアンドロに聞いた方が良いかと思います。彼は独身なので・・・。

 

アンドロ:グルジアでは人間関係が密接です。両親との関係、あるいは兄弟、友達の関係が密接で、あまり孤独さを感じないので、一人ぼっちという感じはないのです。だから新しく密接な関係は必要ないのです。

 

第26回東京国際映画祭 http://tiff.yahoo.co.jp/2013/

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