日吉電影節2012 彭小蓮監督『夏の船 ― Kids in Shanghai』 上映・講演会開催

4日(火)、神奈川県・慶応義塾大学日吉キャンパスにて、「日吉電影節2012」が行われ、慶応義塾大学日吉キャンパスの大学生と一般の方々が約120名、来往舎1F シンポジウムスペースに集結した。

今年の上映作品は、彭小蓮監督の『夏の船 ― Kids in Shanghai』が上映され、慶應義塾大学文学部中国文学専攻の卒業生・大学院生が、わかりやすく字幕翻訳をされた作品。

MC:吉川龍生さん(慶應義塾大学 経済学部准教授)

※クリックで画像拡大

 

『夏の船 ― Kids in Shanghai』上映作品紹介

(ストーリー)

夏休みを迎えた子どもたち。異なる境遇の中で、上海という大都会の海原を逞しく進み、知らず知らずのうちにそれぞれが関わりを持っていく。夏休みを過ごす子どもたちを通じて、上海社会の持つさまざまな側面が描かれる。

(スタッフ)

監督:彭小蓮

脚本:彭小蓮・徐則臣・林良忠

(キャスト)

秦怡、高威、丁美婷、楊建平、黄璜、顔正安、李卓夫

秦怡・・・(1922~)重慶の「四大名旦」のひとりとして人気を得、新中国建国後は、上海映画撮影所所属の女優として数々の名作に出演。夫は映画俳優の金焔(1910~1983/『夏の船』の中で写真で登場している)

 

彭小蓮監督プロフィール

1953年生まれ

1969年から9年間江西省に下放される

1978年、北京電影学院監督科に入学、卒業後は上海映画撮影所に配属される

1989年渡米

1980年代末に小川紳介と知り合い、1991年には小川プロに滞在してドキュメンタリー映画の製作に取り組む

 

(主な作品)

『我和我的同学紋們』、『女人故事 女のものがたり』、『満山紅柿』、『上海家族』、『上海ルンバ』、『紅日風暴』など

 

講演会では大学生や一般の方々からの質問に対して、監督が答えるというQ&Aコーナーがありました。

劇中でも中国の階層・格差社会や家族社会についても描かれている。また、「彭小蓮監督の作品は、背景に上海が出てきて女性を題材にした作品多いですが、今後も同じ路線で作品を撮っていきたいのか、また他に素材として関心があるものがあるのでしょうか?」という学生からの質問には、「撮ろうと思えば自分の知っている題材で撮りたいと思います。(自分にとって)詳しいものというと、上海であり女性のことであるとかになりますので、次にまた撮るとすれば、この路線で撮りたいと思います」と語った。『夏の船 ― Kids in Shanghai』にちなんで、「監督は幼ない頃、夏休みはどのように過ごされていましたか?」の質問には、「母が仕事していた映画の撮影所に行ったり、外で遊んだり・・・勉強は嫌いでしたね(笑)」と語った。「教育は都市も農村の民工の子供たちも区別がなくなってはいますけれど、それぞれの子供たちに必要なものは?」という質問には、「勿論、教育です!」と今の中国の子供たちに必要なことを強く語った。また、キャストの子供たちは子役(俳優)ではなく、学校を訪問し一般の子供たちをキャステイングされた。中でも民工の子供を演じた高威は、セリフの覚えもよく演技させてみたら演技も上手だったことも、撮影のエピソードとして暴露する場面も。最近の中国映画でよかった作品については、(第23回東京国際映画祭コンペティション部門に出品された中国映画) 『鋼のピアノ』と、(同じく第24回東京国際映画祭のコンペティション部門 された台湾映画)『転山』とこたえた。また日本映画では、黒澤明監督の『七人の侍』が好きな作品だと語った。

 

主 催:慶應義塾大学文学部 極東証券寄付講座「東アジアの伝統と挑戦」

協 力:慶應義塾高等学校外国語科(中国語)

運 営:日吉電影節実行委員会(http://ameblo.jp/hiyoshi-keio/

 

<関連イベント情報>『紅日風暴 ― 胡風と毛沢東』上映・講演会

『紅日風暴 ― 胡風と毛沢東』(日本語字幕特別バージョン)

..暴/中国/2012年/中国語/DVD165分/日本語字幕)

彭小蓮監督の父・彭柏山とともに「胡風分子」として迫害された人々のインタビューを中心に構成されたドキュメンタリー映画。すでに他界した「胡風分子」たちの貴重な映像と証言が収められている。また、日米の中国文学研究者も作品中に登場。このたび、慶應義塾大学日吉中国現代文学研究会のメンバーによる日本語字幕版が完成し、上映の運びとなった。なお、今回上映する日本語字幕版は、2009年の137分バージョンに映像を追加した165分の特別バージョンとなっている。


日時・会場:126日(木)

1500~上映(165分) @慶應義塾大学三田キャンパス 南館地下3F 2B31教室

1815~講演(90分) @慶應義塾大学三田キャンパス 研究室棟A会議室

対象:どなたでも参加できます(通訳あり)

主催:慶應義塾大学日吉中国現代文学研究会(代表:関根謙 文学部教授)

 

問い合わせ先:dianying@ml.keio.jp  

 

Asiaent_Lifeをフォローしましょう

<人気記事>