台湾映画『ハーバー・クライシス<湾岸危機>Black&White Episode1』蔡岳勲(ツァイ・ユエシュン) 監督 単独インタビュー

話題の台湾映画『ハーバー・クライシス<湾岸危機>Black&White Episode1が、9月8日(土)より、遂に全国公開される。ジャパンプレミアに来日された蔡岳勲(ツァイ・ユエシュン)監督に、作品について単独インタビューをさせていただきました。

 

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Q:台湾ドラマ「流星花園~花より男子~」や「ザ・ホスピタル(白色巨塔)」など、人気ドラマを手がけた蔡監督が、映画初監督で、しかも3.8億台湾ドルの製作費をかけた映画作品を撮ろうと思ったきっかけを教えてください。

 

監督:「実は、僕がこの世界に入ったのは、映画がきっかけで、役者として入ったのです。その頃、台湾映画界が衰退期で、みなさん一生懸命にやっていても、なかなかうまくいかない。けれど、そこで生きていかなければならない。それが、テレビ業界に入った理由です。長い間、テレビの世界で働いてきましたが、みんな映画に対する夢は、なかなか捨てきれずに・・・特にこの「ブラック&ホワイト」のテレビシリーズが公開されて、大盛況を得た後には、なんとなく自信を持つようになりました。そこで、みんなが映画界に戻りましょうと決めて。ある種の希望を持っているんですね。台湾映画が、これをきっかけに復活していくこと、台湾映画界が、将来もっといい作品をたくさん作ることができること、という・・・夢と希望を持って、今回製作に望んだ訳です」

 

Q:莫大な製作費をかけられましたが?

 

監督:「おかげさまで、テレビドラマのシリーズが成績も良く大好評で、今回映画を製作するときは、最初から“商業映画ですよ”と打ち出して資金集めをしたのです。だからこそ、投資してくれたみなさんも、僕のことを信じてくれました。そういう意味では、資金集めに関しては、それほど“大変!大変!”ということはなかったです。借金して映画を撮るということは、今回はありませんでした。」

 

(それは、蔡監督の人徳でもありますよね?と記者)

 

監督:「企画の段階で、会社の業務担当のみなさんが、企画書の書き方など、非常によくやってくれまして・・・。そういうことを良くやってくれているおかげで、銀行や金融関係の方々とのコミュニケーションが、非常にうまくできました。普通だと映画界の人と金融関係の人との話し合いは、うまくいかないものなのです。今回は、そういうことはなかったのです」

Q:ドラマと映画では、若干キャストが変わりましたが、キャスティングで苦労したことは?

 

監督:「今回の映画は、最初からインターナショナルな作品にもっていこうと思っていました。キャスティングの時は、台湾・中国・香港・日本と、役にあった人選をすることができました。ここで直面する困難は、一つの街にいろんな国際人がやってきて、不自然な感じがするとまずい。やはり、同じ街にやってきても、違和感がなく、いかに役にあった人選をするのかという難しい問題がありました。いろんな人が融合するので、融合型の大事なところは、相容れないような感じだとよくないので、今回、役者のみなさんが、非常に頑張ってくれまして、すごくうまくいったなと思います」

 

Q:火薬の量も多かったですし、アクションもノースタントマンだったようですが?

 

監督:「役者のホァン・ボーが「この火薬の量は並じゃない。小規模の戦争くらいの状態」と冗談をいうのですけれど・・・映画でみなさんが観ても、かなりの火薬の量を感じたと思いますが、NGシーンもありましたので、もっともっとたくさんの火薬の量を使っていたわけです。もうひとつ、今回、あえてスタントマンを使わないというのは、観客が映画を観たときに、すごく臨場感・リアル感を出したかったのです。観て観客も“痛い”とか“衝突がすごい”というような実感をして欲しかったという目的もありました。全ての役者も、この考え方を受け入れることが大事ですが、彼らは全員受け入れて理解を示してくれました。目的を達成するためには、実はこのアクションを担当するチームがあり、みなさんフランスからやってきまして、映画の撮影3ヶ月前に、役者全員がアクションの基礎の訓練をしました。まず、第一段階として、基礎の体力作り。その後に格闘や身を守る技を身に付けなければならない。そこを経て、やっとリハーサルに入る・・・だから3ヶ月かかりました。マーク・チャオに関して、98%カーチェイスシーンは、自ら運転をしているのですね。映画の中で猛スピードでターンするシーンも、本人がやっていて・・・劇中マーク・チャオとホァン・ボーが、初めて一緒に撮ったシーンが、冒頭の車の中のシーンなのですが、実はホァン・ボーもマーク・チャオのことを、まだあまりよく知らなくて、それで車に乗って撮影し、車を降りたホァン・ボーは真っ青で、「この若者、よくわかりました!」と言ってましたね(笑)」

 

Q:今後、ドラマや映画の製作予定はありますか?

 

監督:「今、手元にはテレビドラマ2つ、映画2本の企画があり準備中です。テレビドラマの一つに関しては、原作は日本の漫画にして撮ろうかと思います。どちらかというと、CGなど特殊効果をたくさん使う、不思議な世界のドラマです。映画に関して模索しているのは、アクション、アドベンチャー系の映画。今まで中国語圏で製作された映画では見たことのないような特殊効果をたくさん使う映画です。もう一方では、『ハーバー・クライシス<湾岸危機>Black&White Episode1』がアジアで公開されて成績が良くて、おそらくパート2もそろそろ製作しようかなと考えているところです」

 

Q:作品を製作するうえで、出演して欲しいキャストなどはいますか?

 

監督:「マーク・チャオに関しては、いいと思うのですけれど、今(マーク・チャオは)忙しくて出演してくれないんじゃないかな(爆笑)。でも、この『ハーバー・クライシス<湾岸危機>Black&White Episode1』のパート2だったら、きっと出演してくれるんじゃないかなと思いますけれどね。マーク・チャオは、素晴らしい俳優だと思います。この映画に登場したみなさんは、全員素晴らしいと・・・一緒に仕事をしたいと思います。映画、ドラマを撮る時に大事なのは、役柄に適したキャスティングが大事ですね」

Q:日本来日中に行きたいところやチャレンジしてみたいところなどはありますか?

 

監督:「僕は、小さい時から日本に来るのが大好きで、日本に来て何をやろうかということはないのです。街をぶらぶら、歩いているときに美味しそうなラーメン屋があるから食べよう・・・あるいは、おつまみを食べながらビールを飲むのが好きです」

 

記者:「台湾のアーティストなどが来日すると”一蘭”というラーメン屋に行くようですが・・・」

 

監督:「昨日、聞きました(笑)。僕は、どちらかというと・・・日本人が庶民的に行くところ、例えば立ち食いとか、立ち飲みとか行ったことがありますよ。以前(日本で)、終電が終わった後に、街を歩いていたら屋台のおでん屋さんがあり、そこでも食べたことがありました」

 

『ハーバー・クライシス<湾岸危機>Black&White Episode1』の次回作も楽しみに思えました。今回の『ハーバー・クライシス<湾岸危機>Black&White Episode1』は、吹き替え版も上映されるので、2つの楽しみ方があります。吹き替え版(ダーフー役:ホァン・ボー/寺脇康文 インション役:マーク・チャオ/中尾明慶)

 

(取材:野地 理絵)

 

 

「ハーバー・クライシス <湾岸危機 >Black & White Episode 1」

 

台湾エミー賞で5部門を受賞した人気テレビドラマ「ブラック&ホワイト」の劇場版。ドラマ版から3年前にさかのぼり、主人公の熱血刑事インションの新人時代を描く。台湾の大都市ハーバー・シティ。正義感あふれる新米刑事ウー・インションとお調子者のヤクザ、シュー・ダーフーは、謎の武装集団が核攻撃を目論んでいることを知る。巨大な陰謀に巻き込まれてしまった2人はコンビを組み、巨悪犯罪組織に立ち向かう。主演は、ドラマ版に続いてインションを演じるマーク・チャオ(「モンガに散る」)。監督は、台湾版「花より男子」も手がけたヒットメーカーのツァイ・ユエシュン。

 

公式オフィシャルサイト http://www.bw-movie.jp/

 

監督:ツァイ・ユエシュン

キャスト:マーク・チャオ、ホァン・ボー、DEAN FUJIOKA Angelababy

提供:アミューズソフト

配給:東映

(C)2012 Hero Pictures Corporation Limited. ALL RIGHTS RESERVED.

「ハーバー・クライシス <湾岸危機 >Black & White Episode 1」9月8日から全国で公開

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