「死と乙女という名のダンス」のアンドレ・ヒューレス主演・監督 単独インタビュー

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012」の長編部門(国際コンペティション)作品「死と乙女という名のダンス」が、16日(月)上映され、アンドレ・ヒューレス主演・監督が、単独インタビューに応じた。

 

祖国を離れカナダに渡った兄のスティーブはビジネスで成功し、ハンガリーでダンスを続けた弟のギューラはダンススタジオの経営に困窮していた。そして、20年ぶりに兄が祖国に戻った時、止まっていた時間が動き出す。

『天使と悪魔』『セブン』『アポロ13』、TVシリーズ「24TWENTY FOUR」(シーズンI)など、俳優として100本近くものハリウッド映画やTVシリーズに出演し、全米映画俳優組合賞を受賞したアンドレ・ヒューレスが監督・主演を務める。撮影監督は『未知との遭遇』で米国アカデミー賞撮影賞を受賞したヴィルモス・ジグモンド。

Q:この作品の中では、 主人公スティーブ(アンドレ・ヒューレス監督)と父親、弟、元恋人との関係を元に戻すために20年という年月をかけている内容ですが、例えば20年ではなく・・・5年、10年でも良かったのか・・・それとも20年という年月をかけなけえばならない理由があったのでしょうか?

監督:やはり、20年という年月は、家族の確執を描くのに、20年間という年月が必要で、10年や5年では描ききれない部分があります。20年経ってやっと登場人物の心の納得がいく結果となるのです。これが30年、40年という年月が過ぎてしまうと、確執さえ気にしなくなってしまうからです。

 

Q:撮影での大変だったことやエピソードはありましたか?

監督:問題はいろいろありました。この作品は3ヵ国と2大陸を跨いで作られているということです。クルーはそれぞれの場所で違いました。カナダに行くのに、自分と2人のカメラマンを連れて行き、カナダのクルーや役者を使いました。スロベニアでも3、4人の役者を使いましたし、このように違うグループをマッチするのが苦労しました。クルーの中で一番素晴らしかったのは、カメラマンのヴィルモス・ジグモンドさん(「ディア・ハンター」「未知との遭遇」の伝説的カメラマン)で、撮影時81歳でした。とてもエネルギー溢れた方で、朝から20時間撮影をして、それが終わってから映像チェックをした2時間後には、次のロケ地で撮ろうという形でした。みんなが疲れきっているのに、彼だけがエネルギーがありました。素晴らしい方でした。とてもカメラマンとして著名な方です。

 

Q:映画の作品中で、アンドレ監督は俳優としても走るシーンが多かったのですが、体力的にはいかがでしたか?

監督:本当にたくさん走りました。カメラマンの要望として、照明が悪かったから・・・別のアングルから撮りたいから・・・後ろで車が通りかかったから・・・ということで、十数回撮り直しさせられました。撮り直しになったときに、”カメラマンは本当にこのシーンを撮りたかったのか・・・自分が(アンドレ監督)が倒れるのを待っているのか・・・どちらなんだろうか・・・と、不安に思いました(笑)”

 

記者:走った後の様子は、疲れている様子ではなかったのです。まだまだ、体力に余裕がありそうな走り方でした。

 

監督:そんなことないですよ!(笑)階段が凄く長かったので、何ども往復したので、疲れていなかったということはないですよ。大きな木に辿り着いたときに、「ハァ~」という感じでした。

 

Q:ドキュメンタリーではなく。フィクションの作品を作った意図は?

監督:アメリカに初めて着いたときに、新聞広告を見て”王様と映画監督の広告は出ていない”ということに、気づきました。王様は自分の王国のために闘わなければならないし、監督は自分の作品を撮るために闘わなければならない。誰も”あなたこれを撮りなさい”とは手を差し伸べてくれることはない。自分は依然からフィクションを撮りたかったが、今回やっと全ての条件が整い、撮ることが叶いました。

アメリカでは映画はビジネスですので、必ず映画を成功させて、見返りをもたらしてくれる人でなければ、投資はしてくれないのです。なかなか映画を撮ることは難しかったです。自分は、国立劇場のディレクターをしたり、映画やテレビの世界で、30年以上経験を積み重ねてきましたし、他の監督のために脚本を書いたことがあります。映画を撮るためのバックグラウンドは、ずっと積み上げてきました。それで今回映画を撮ることができました。

Q:今後の作品予定はありますか?

監督:2つのプロジェクトが進行中です。5月に脚本を書き終わりました。一つ目は、飛行機をハイジャックする内容です。武器もなく他に手段がないので、飛行機をハイジャックして、逃げ出そうという内容で、アドベンチャーテイストですが、実話に基づいた話です。もう一つは、30年代にドラキュラを演じた俳優のベラ・ルゴシさんの作品で、悲劇的な人生をおくった方の映画の話が、プロデューサーからあったところです。

 

記者:監督としての作品ですか、俳優としての作品でしょうか?

 

監督:主に監督業です。演じはしないと思いますが、演じるとすればメインとは関係の無い役だと思います。

「死と乙女という名のダンス」は、7月18日(水)、上映が予定されている。

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2012」公式HP http://www.skipcity-dcf.jp/index.html

 

 

アンドレ・ヒューレス監督のプロフィール

ハンガリー生まれ。国立の芸術学校であるNational Academy of Theatre and Film Arts にて演出を学ぶ。以来、ハンガリーの国立劇場、パリ・ビエンナーレ、世界シェイクスピア学会など、様々な場所で数々の演劇を演出。アメリカに移住後、AFIにてプロデュースを学ぶ傍ら、『セブン』『アポロ13』『天使と悪魔』などのハリウッド映画に出演。また数々の国際映画祭で上映されたドキュメンタリー作品『Torn from the Flag』を共同監督している。本作はフィクション長編初監督作品となる。

 

(取材:野地 理絵)


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