『サニー永遠の仲間たち』カン・ヒョンチョル監督,来日合同インタビュー

韓国で大ヒットメーカーとして人気のカン・ヒョンチョル監督。740万人の心を動かした最新作『サニー永遠の仲間たち』の公開前に来日。合同インタビューが行われ、撮影秘話などを語ってくれた。

 

Q:キャスティングの考慮は、何を考えてキャスティングされましたか?

監督:自分でシナリオを書き、キャラクターも創り出したので、キャスティングにおいて自分が作ったキャラクターを一番上手く表現してくれる俳優を中心にキャスティングしました。二人一役なので現在と高校生の時代の女優と似ていないといけないので、共通点を持っている人達をキャスティングしようと思いました。(※クリックで画像拡大)

 

Q:80年代のポップスを選曲した意図は?

監督:自分の記憶に残っている曲で、80年代は韓国の良い音楽もたくさんありましたが、韓国の音楽よりもポップス系音楽の時代だったのです。自分が監督・作家として、聴覚的なイメージとして残っているのがポップスで、個人的にも韓国の音楽よりもポップスをよく聴いていました。あの時代を描くためには、ノスタルジアも含めて自然にポップスを選ぶことになりました。そして、もう一つ選んだきっかけは、画面と離れてただ格好つけるだけの曲だけにはならないように、音楽が一つの登場人物のような良さになるように心がけました。時代と人物を表現するために選ぼうと思いました。

 

Q:ラジオから流れてきて今回のタイトルに繋がっていると思いますが、ラジオの存在やラジオに繋がる思いはあるのでしょうか?

監督:最近は、あまりラジオを聴きませんが、自分が成長する時には姉がいましたので、姉がラジオを聴きながら友達と電話で話をしている姿、純粋な女学生の姿が記憶に残っているので、この映画で再現してみたのです。

 

Q:韓国の社会は、女性の主張がはっきりしていると思うのですが、80年代の男女と今の男女での力関係に変化を感じますか?

監督80年代と今現在の韓国社会を比較してみると勿論80年代よりも今の方が、女性の社会参加の方が増えていると思います。でも、男女の比率で考えると女性の社会的な参加は、男性と比べるとまだ進出参加は少ないと思います。何故、私が40代の女性を主人公にして映画を撮ったのか?40代の女性というのは、いろんな社会的なことや環境によって、年をとることにつれて自分自身とは何なのか?自分は誰かの奥さんであり、誰かのお母さんだったり、自分自身のアイデンティティーに関して悩んでいるのではと思ったのです。そういう意味で第二の思春期を迎えているのではないかと思い、昔の友達と再会するだけでなく、自分自身を取り戻していく。女性として自分の名前を取り戻していくということを映画で描いてみたいと思いました。

 

Q:女性の繊細な心理的なものを描くのに、どういうものを参考にされたのか?

監督:人間は一人で生きているのではないので、普通に生活していると女性と遭遇し出会いがありますし、仕事でもいろんな面で女性と出会い一緒に会話をするという場面がありますので、自然に自分が感じたものがあると思います。でも、この映画のアイディアは、かなり前から考えていたことがありましたので、無意識的に女性と会うとリサーチみたいに質問したり、観察をしていたかもしれません。やはり、この『サニー永遠の仲間たち』という作品は、新しい場面が映画の中にあるというよりは、日常生活の場面の想い出だったり散りばめられているので、自然に参考にされて映画に生かされたのではないかと思います。もう一つは、女性観客から男性監督なのに、何故女性の生活がわかるのかと質問されるのですが、女性のみなさんが思っているよりも男性は女性の日常生活をよくわかっているのです。(笑)

 

Q:サニーのメンバーの中で、どの人がタイプですか?

監督:このキャストの中で紛争が起こりそうな質問ですね。みなさんと仲が良いので・・・。自分は個人的にチュナのキャラクターがカッコイイと思いました。男性というキャラクターでもカッコイイと思ったのです。

 

Q:女の友情と男の友情の一番大きな違いとは?

監督:男の友情は積極的に表現していると思います。女性は一度離れてしまうと社会的なことなどで再会が難しいと思うのです。イム・ナミという専業主婦は、最初は家族の面倒を見なければならないので、友達を探していくということに積極的ではなかった。映画の中でどんどん彼女が変化していく。25年ぶりの会っていない友達をタイムマシンに乗ったようなに探していく。積極的になれない人でも変わることは可能だと思うし、男女の友情というものは、そんなにかわらないと思うのです。この映画は女性の映画というよりは、人生に関する映画だと思っているのです。この主人公など全部男性に変えても、多分同じ映画が撮れると思います。

 

Q:イム・ナミの娘がイジメに合い、母であるナミが殴り込みするシーンで足蹴りなどありましたが、あのシーンを取り入れた意図は?

監督:あのような殴り込みは韓国でもないですよ。ありえないことです(笑)。意図としてはイム・ナミという主人公は、友達と再会する前だとしたら、彼女は静かに合理的な方法で、問題を解決しようと思ったのだと思うのです。しかし、友達と再会して昔に戻った彼女は、女子高生のナミなのです。女子高校生の方法として、自分が解決しようとした。ある面、自分が楽しんだ面もあったと思うのです。実は韓国でディレクターズカット版が公開され、彼女が殴り込みに行く前に、みんなが集まりこれから何をしたいかという話し合いの場面があるのです。彼女だけが制服を着た理由として、一度娘が虐められた時に、虐めた女子学生にナミの顔を見られているのです。自分なりにはナミはちょっと天然で、自分なりに変装したつもりで制服を着たのです。

 

Q:監督は映画のように学生時代の友達などと連絡を取ったり、会いたいなど連絡のやりとりはあるのでしょうか?

監督:自分は比較的、昔の友達と連絡を取っています。この映画がきっかけになり、韓国の社会では昔の友達と連絡を取り会うようになったという話を聞いています。映画の公開後に、友達から頻繁に連絡をもらうようになり、かなり飲み代は自分が払うことになりました。(笑)

 

Q:劇中では韓国ドラマを見て楽しむシーン、整形のことや学生運動など・・・韓国のことが表現されていましたが、他国で公開する予定は?

監督:フランスで一度上映しましたが、ある部分では韓国よりも反応が大きかったのです。韓国ドラマを見ているシーンや整形で二重まぶたのシーンなどは、フランスの方もわかっているのかなと思いました。逆に、この映画をきっかけに、わからない部分を調べるきっかけになるのではないかと思うのです。自分は韓国を紹介する気では撮っていないので・・・。

 

Q:劇中で着ている洋服や看板や車や自転車など、背景で80年代の時代を背景に描いていると思います。ビジュアル的なことで監督が大変だったことなどはありましたか?

監督:映画の画面全体の美術やメイクや衣装担当などは、もの凄く大変だったと思うのです。自分としては、非常にこだわりたいという意思がありました。一番予算を使い美術的にも力を入れた場面は、デモ隊と警察に巻き込まれて、みんなが喧嘩になるというシーンに一番予算もかけましたし、時間的にもビジュアル的にも力を入れた部分です。

 

Q:日本の映画で好きな作品や影響を受けている作品は?

監督:北野武さんの映画が好きで、最近は「アウトレイジ」を見て、もの凄い暴力の中にもユーモアがあり、残忍な描写もありますが・・・一番好きなのは「菊次郎の夏」です。最近は、オダギリジョーさんの「東京タワー」です。お母さんと息子の関係で、自分自身もお母さんのことを考えたりと印象的な映画です。

 

Q:映画監督という仕事の魅力は?

監督:個人的なことで言えば、朝早く出勤しなくても良いということです。若干夜型です。個人的には自分は怠け者なので、映画を撮る間は勤勉に仕事をしますが、撮らない間はプータローのように、何もしないところが魅力だと思います。撮影に入る前まではやる気満々ですが、撮影に入るとしんどいと思うことの繰り返しです。

 

Q:『サニー永遠の仲間たち』は友情で、前作の『過速スキャンダル』では家族愛がテーマでした。次回作はどのようなことをテーマにされるのでしょうか?

監督:次回作は「タチャ イカサマ師2」で、今までの映画とは違うノワール的な映画になると思います。

 

(取材: 野地 理絵)

 

 

<特別試写会プレゼント>

 

<映画『サニー 永遠の仲間たち』特別試写会>

 

・日時:5/7(月)1830 開場/1900 開演 上映時間:2時間 04分 

 

・会場:なかのZEROホール東京都中野区中野2丁目9−7

 

ご招待組数:35組70名様

 

 

応募期間:4月14日(土)~4月20日(金)>

 お名前、メールアドレス、電話番号、好きな映画・アーティスト・俳優の記入をお願い致します。

タイトル(件名)をサニー永遠の仲間たち」特別試写会”として、下記アドレスまでお送り下さい。

応募先メールアドレス→ info@asiaent-life.com

当選者の発表:厳正なる抽選の上、当選者にはメールにてお知らせいたします。

(パソコンからのメール受信、または info@asiaent-life.comからのメール受信できるよう設定をお願い致します。)

 

ご記入いただいた個人情報は、特別試写会ご招待するためにのみ使用するものであり、それ以外の目的で使用したり、第3者に提供されることはありません。

 

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完璧な夫と高校生の娘に恵まれ、幸せな日々を送っていた主婦のナミ。ある日、母の入院する病院先で、高校時代の友人チュナと再会する。25年前、ソウルの女子校へ転校したてのナミを、姉御肌のチュナが仲間に入れてくれたのだった。個性豊かな7人の仲良しメンバーは、友情の証としてグループを“サニー”と名付け、ずっと一緒にいようと誓うが、ある事件がきっかけで離ればなれになってしまう。あれから25年。病に冒され、また仲間に会いたいというチュナのため、ナミは残りのメンバーを探し始める。それはナミにとって、夢を抱き、輝いていた日々を取り戻していく旅でもあった。

 

2011年、韓国で公開されるや世代を超えて口コミが広がりロングランヒットを記録、740万人を動員した大ヒット作。監督は、前作『過速スキャンダル』(08)でも興行記録を打ち立てたヒットメーカー、カン・ヒョンチョル。偶然の再会をきっかけにかつての友人を探すことになった主人公が、希望に満ちていた青春の日々を思い返し、皮肉な現実に直面しながらも、友情と輝きを取り戻していくという珠玉の物語を作り上げた。劇中には、シンディ・ローパーをはじめ、ボニー・M「サニー」、映画『ラ・ブーム』でおなじみの「愛のファンタジー」といった懐かしの7080年代の大ヒット洋楽やファッションがあふれ、きらびやかな思い出と溶け合ってそれぞれの人生が綴られていく。夢で満ちあふれていた“1986年”の高校生時代と、当時想像していたものとは異なる“2011年のいま”が並行して描かれ、観る者は彼女たちの人生にぐっと引き込まれていく。

 

監督: カン・ヒョンチョル『過速スキャンダル』

出演: シム・ウンギョン、カン・ソラ、ミン・ヒョリン、ユ・ホジョン、ジン・ヒギョン、コ・ソヒ、ホン・ジニ

2011年/韓国/124分/カラー/シネスコサイズ/ドルビーSRD/原題:『SUNNY

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配給:CJ Entertainment Japan

5月19日、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町他全国公開

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