『ドラゴン・タトゥーの女』 来日記者会見

全世界で6500万部を売り上げた大ヒットミステリー小説を『セブン』のデヴィッド・フィンチャー監督が映画化した大注目作『ドラゴン・タトゥーの女』(2/10公開)。本作の公開に先駆けて、本日記者会見を行いました。デヴィッド・フィンチャー監督は『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』以来2年ぶり3度目の来日。初主演にして本年度アカデミー賞では主演女優賞にノミネートされたルーニー・マーラは初来日。

『ドラゴン・タトゥーの女』ジャパンプレミア

日程:131日(火)

会場:東京ミッドタウンホール(東京・港区)

登壇者:デヴィッド・フィンチャー監督、ルーニー・マーラ

 

【マスコミ】

記者:150名

スチール:70名

ムービー:15台

●まずは一言ご挨拶を。

DF:今日はお越しいただきありがとう。

昨日はジャパンプレミアで、客席から舞台まで、長いランウェイを歩いてモデルのような気分でした。モデルは久しぶりなので(笑)少し緊張しました。

RM:ハーイ。

初めての来日になります。まだあまり見れていないですが、東京はとっても好きです。午後少し時間があるので、街に出てみようと思います。日本に来れたことだけで嬉しいです。

●大ベストセラー、さらに一度映画化されている作品を取り上げた理由は?舞台もスウェーデン。スウェーデン版との違いは?

DF:スウェーデン版は一度しか観ていません。特に入念に観た訳ではないのですが、、強いて言うならば脚本がだいぶ違うと聞いています。何よりも自分が実際に原作を読んだときに感じたことを忠実に描くように心がけました。あえてスウェーデン版との違いをつくろうとして作った訳ではないんです。

●リスベット役を引き受けた理由は?彼女のどこに共感?

RM:原作を読んで好きになりました。読まれた方は皆さん彼女に共感を覚え好きになると思います。彼女をどのように演じたらいいかよく考えて、私はリスベットを演じことができる・理解できている、と思ったんです。彼女には色んなかたちで共感しました。人生の中で、周りに誤解される、のけものにされる、と感じることは誰にでもあることだと思います。特にその点で共感することができました。引き受けた理由は、若い女優にとってこのような役に巡り合えるのはめったにないことですし、これは大きなチャンスだと思ったからです。

●リスベットのキャラクター造形について、原作より魅力的に感じた。どのような独自性を?

DF:特に足したことはありません。原作の中でかなり入念に描かれています。なので2作目、3作目も読んで創っていきました。映画ではキャラクターが何を考えているかを表現することが大事だと考えています。ただし原作すべてを映像にするのは難しいので、シチュエーションをいくつか選んで、その中でリスベットだったらどのように振舞うかを見せることで、観客にはそこから感じてもらえるようにしました。足したというよりも、引いて、排除していく作業でしたね。まるで砂金をふるいにかけてを金だけを残すように、彼女の光り輝く部分を残すようにしました。このようにヒントを提示していくのは、クリエイトというよりも解釈した、という方が近いかもしれませんね。

RM:今回のキャラクターづくりはすべてコラボレーションでした。監督、衣装デザイナー、プロデューサー、全員と話をさせてもらって、衣装からアイテムまですべて決めていきました。原作からのイメージが基本です。

●スウェーデンにこだわったのは、原作のどの部分に印象を受けて?またスウェーデンでの長期撮影の苦労は?

DF:他の街はまったく考えられませんでした。原作で描かれているように街がキャラクターにもたらすものはあまりにも大きい。それにとてもスウェーデンっぽい物語です。さらにはなんといっても原作がスウェーデン舞台にしていて、あれだけヒットされているんだから、映画も見習おうと思いました。

ストックホルムというのは独特のデザインをもった街です。街のもつ雰囲気を作品に取り込むことができたと思っています。電車のシーンもそうですし、ラストシーンのミカエルのアパートの下にある石畳の道はとても美しいショットが撮れました。あとはなんといっても寒さですね。皆さんには作品を観ていても、スウェーデンの凍てつくような寒さを感じていただけるかと思います。

DF:これまで世界的に無名の曲もたくさん使ったこともありますが(笑)、今回はたまたまスウェーデンをロケハンをしているときにレッド・ツェッペリンのアルバムがかかっていたんです。ふと思ったのがあの曲を女性のボーカルで歌ったら面白いんじゃないかというインスピレーションが沸いたんです。『ソーシャル・ネットワーク』の「Baby You're a Rich Man」は相談しながら、あの場面ではパーフェクトだと考え決めました。インスピレーションなのでなんと答えるのは難しいですが・・・今回の作品ではエンヤの歌も使用していますが、それは殺人のトーンを創りあげるのに良い曲じゃないかと思ったからです。少なくともABBAよりは合っているかと(笑)

●『ソーシャル・ネットワーク』のときは冒頭シーンを100テイクくらい撮ったと伺いました。今回は?

RM:監督はすべてのシーンでなんども撮り直す手法をとられるので、いちいち数えていません(笑)

 

DF54テイクがあったよ。

 

RM:そもそも数えていないし、それが当たり前だと思って演技をしていたから。『ソーシャル・ネットワーク』の100回テイクは9ページくらいある長いシーンだったので、特別なことではありません。

 

DF:今回テイクを重ねたのは、特に天候によるところが大きいんです。たとえば夜橋に向かっていむかってリスベットがバイクを飛ばすスタント・シーンでは、道路が凍りつかないように火を使って溶かしながら撮影したり。何回撮ったか数えてられないし、とにかく1週間くらい撮っているような気分で撮っていましたよ。

●ダニエル・クレイグの起用、共演エピソードは?

DF:ダニエルは一番最初にキャスティングした男優。彼こそミカエルだと思いました。ボンド以前から彼のことを知っていて、いろんな役を演じられる才能豊かな俳優であることはもちろん知っていました。ミカエルの男らしさ、いろんな女性と友情関係を築けること、うまい聞き手であること、そしてウィットに富んでいることを重視して、それらを全部網羅しているのはダニエルしかいないと思い起用したわけです。

 

RM:彼と一緒の仕事はアメイジングな経験でした。素晴らしい才能豊かな俳優であることは間違いないですが、それに忍耐強い人で、俳優としていろいろ教えてくれました。初めてのことにトライするのに、彼に勝る人はいません。ユーモアのセンスもあって、一緒にいて楽しい方でした。

●ファッション・アイコンとしても注目されている今の気持ちは?

RM:世間からそのように見られていることはあまり考えないようにしています。そのようなことに注意を払うことなく、自分なりの生き方を続けています。(恥ずかしがり屋のルーニー・マーラーが、ちょっと照れながらコメント。)

●印象的なオープニングロール どういうインスピレーションで?

DF:前提として良い曲があったので、これをタイトルシークエンスに使おうと決めました。その後ティム・ミラーに、リスベットの悪を映像化してほしいと依頼しました。それは抽象的でも、滑稽でもいい。体からいろんなものが出てくるようなもの。黒い漆がにじみ出てくるようなもの。とお願いしました。彼からは75個くらいのアイディアを出してもらったのですが、そこから25個選び、8週間で創ってもらいました。もっと時間をかけたかったですね。

●次回作もフィンチャー監督が?

DF:まずはたくさんの人に観てもらわなければ2作品3作品と続けられません。すごく大勢の人に観てもらわないとね!(会場笑)

それは、40年前に失踪した少女の捜索依頼から始まった。

 

スウェーデンを揺るがせた財界汚職事件の告発記事を書きながら名誉棄損裁判で敗訴したミカエルは意気消沈の日々を送っていた。ある日、彼のもとにスェーデン有数の財閥ヴァンゲルの元会長ヘンリック・ヴァンゲル老人から家族史編纂の依頼が舞い込む。

実はヘンリックの真の目的は40年前に起きた親族の娘ハリエット失踪事件の真相究明だった。ヴァンゲルは、ハリエットが一族の誰かに殺害されたと信じていた。40年前に一族が住む孤島から何の痕跡も残さず消えた少女。

成功の陰に隠された一族の血塗られた過去に気づくものの手がかりの掴めないミカエルは、一族の弁護士から天才的な資料収集能力の持ち主であるとして、ある人物を紹介される。

リスベットという名の、顔色が悪く、拒食症患者のように、がりがりに痩せた女。ほとんどお喋りをしない小柄な彼女の肩口から背中にかけて、龍の刺青(ドラゴン・タトゥー)が異彩を放っていた。

意外なことに彼女はこの事件に異様な関心を示す。そして彼女はハリエットの日記に記された聖書にまつわる数字が、ロシアの国境付近で未解決のままとなっている連続猟奇殺人事件と関連があることを突き止めるのだった…。

『ドラゴン・タトゥーの女』

http://www.dragontattoo.jp

 

原作はミレニアム三部作の第一弾として2005年にスウェーデンで刊行され発売と同時に爆発的ヒットとなった衝撃のミステリー。日本では2008年に刊行され話題になったが、2011年秋早川書房から文庫化され、発売一ヶ月で20万部を越え、今また新たなブームに火がついている。 

 

監督:デヴィッド・フィンチャー『セブン』『ソーシャル・ネットワーク』脚色:スティーブン・ザイリアン『ハンニバル』『シンドラーのリスト』

音楽:トレント・レズナー/アッティカス・ロス『ソーシャル・ネットワーク』

出演:ダニエル・クレイグ『007慰めの報酬』/ルーニー・マーラ『ソーシャル・ネットワーク』  

配給・宣伝:ソニー・ピクチャーズ

 

 

(取材:野地 理絵) 

2月10日(金)TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー!

Asiaent_Lifeをフォローしましょう

<人気記事>