映画『デビルズ・ダブル ある影武者の物語』ラティフ・ヤヒア氏来日記者会見

フセインの息子の影武者となり、人生を狂わされた男ラティフ・ヤヒア氏。映画『デビルズ・ダブル ある影武者の物語』を記念し、ホテル西洋銀座にて来日記者会見が開催されました。

 

ラティフ:やっと日本に来ることができました。(実は11月に来日予定でしたが、書類の不備で成田空港で入国できなかったのです。

Q:自分の経験をもとに映画が出来上がったのですが、完成された映画を観た感想は?

 

ラティフ:一度目に完成した映画を観た時は安定剤を飲みながら観た。手にペットボトルの水を持っていたのですが、それを潰してしまったのです。そして妻にこれは映画なのだからと落ち着かせてくれました。拷問のシーンなどは、当時の痛みが襲ってくるようで劇中でラティフがウダイに痛めつけられるシーンは非常に辛いです。

Q:影武者生活がどのようにトラウマになっているのか?

 

ラティフ:20年前にイラクから亡命してから普通に眠ることができません。2,3時間眠れればラッキーかなと思います。悪夢にうなされ日常生活もこの目で目撃したことは大きな痛みとして残って辛い。当時受けた拷問の傷跡も残っていますし、拷問が原因で病気にもかかっています。お医者様によっては、あと2、3年の命だとも言われています。日々前に進むしかないという感じです。

Q:ウダイに似ているだけで影武者にされたのか?それとも他に理由があったのか?

 

ラティフ:影武者にされたのは、ただ外見が似ているということだけでした。他の理由はありませんでした。当時のイラクは、イラクの国のイラク国民だという形でまとまっていたのです。今のように分裂分担してということがなかったのです。

Q:20年前に亡命して、今年はリビアなど状況が変わってきていますが?

 

ラティフ20年前に亡命しましたけれど、心はイラクという国にずっと残り続けています。中東の変化も嬉しく思っています。イラクもリビアなどと同じように変化を遂げてくれたらよかったのにと思います。アメリカの介入なしに変化を遂げてくれてたら良かったと思うのです。今のイラクはひとつの国として見ることができません。かつて自分が後にした国ではないと思います。アメリカが介入したことによって、一人のサダム一人のウダイがいたところ、今は100人のサダム100人のウダイがいる国となってしまいました。イラクという国は終わったと自分は感じています。

 

Q:ウダイと同級生で似ているということは事実だったのか?影武者になる前にこの国の指導者がおかしいと感じたのか?

 

ラティフ:ウダイとは4年間クラスメイトでルックスが似ていたことは確かです。自分はエンジニアを目指し、学校の成績も良かったのです。法律の方に専攻を変えました。その後陸軍に入りました。バクダットでは比較的裕福な過程で生活をしていました。そしてウダイに影武者になれと命令され影武者にされてしまいました。自分から志願したことではなく、強制された仕事でした。ウダイからは裏切れば、自分の姉妹を犯してしまうと脅迫されていました。当時の政権への思いと自分の思いは一緒でした。ウダイと同級生の高校生の頃は、父からはなるべくウダイに関わらない方が良いと言われていました。当時拷問ということがありました。収容される場所などもありました。当時のイラクは西洋と考えられていたので、西洋のメディアでは映されるということはなかったのです。

Q:ウダイとサダムの影武者は何人いたのか?イラクの独裁者の哀れな最後を目にした時に何を感じたか?同じく影武者がいると言われていたもう一人の独裁者キム・ジョンイルが亡くなったことについて?

 

ラティフ:ウダイは自分1人、サダムは4人いたと言われていますが、自分があったことのあるのは1人です。サダムの死に関しては、処刑の仕方にアメリカに怒りを感じた。それは彼をヒーロー扱いしてたからです。ウダイの死に関しては、TVで放送されていたのですが、TVにコーヒーカップを投げつけてしまいました。何故なら暗殺ではなく法で罰して欲しかったのです。判事の前で自分もその場に立ち、多くの人を傷つけ殺した。自分もその中の一人であると自分も証明したかったのです。その機会を奪われたことに対して怒りを感じました。北朝鮮については自分が話すことではありませんが、後継者が高学歴だとも聞いているので、願わくば北朝鮮のシステムを変え国を変えてくれたらよいのにと思う。

小悪魔的魅力のデビ夫人がウェルカムホステスとして、ラティフ氏に花束贈呈

現在、ラティフ氏は亡命しアイルランドで暮らすが、20年経った今でも市民権を得ることができず、パスポートを持っていないことを語った。理由は、自分がCIAに協力することを拒否したから。それでも自分の物語を伝えたいと続け、今は人権擁護団体のメンバーで、人権、正義といったものを世界に訴え続けていきたいと思っている語った。

 

元インドネシアの大統領夫人だったデビ夫人は、自らも亡命した経験があり国際情勢に関して持論を語った。

ラティフ氏からデビ夫人へ原作本を手渡された。

<ストーリー>

イラク共和国大統領フセインの長男、ウダイ(ドミニク・クーパー二役)。莫大な富と絶大な権力のもと、暴力とセックスに明け暮れ、狂気のプリンスと恐れられていた。ラティフはウダイから、自分の影武者になれと命じられる。高校の同級生だった頃から、二人はそっくりだと噂されていた。一度は拒絶するラティフだが、家族を殺すと脅され、他に選択肢はなかった。側近のムネム(ラード・ラウィ)の指揮のもと、顔の一部を整形し、ウダイに似せた義歯を作り、ウダイの経歴を暗記し、話し方や身振りを練習するラティフ。その成果は、父フセイン大統領(フィリップ・クァスト)が「3人目の息子」と認めるほどだった。この話は実際にウダイ・フィセインの影武者にされてしまったラティフの実話。

2012年1月13日(金)全国ロードショー

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