「日本映画・ある視点」部門作品受賞『ももいろそらを』上映、記者会見

 

11月8日、第24回東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門作品賞受賞作品『ももいろそらを』の 特別上映会とゲストによる記者会見をFCCJ(日本外国特派員協会)にて開催されました。

 

依田チェアマン:「信じよう。映画の力。」をスローガンにした第24回東京国際映画祭が先月30日に閉幕しました。東日本大震災の影響で一時は開催が危ぶまれましたが、「映画の持つ力を世界に広く伝えるべき」という思いから開催を決定いたしました。今年は75カ国以上(76の国と地域)から975作品が寄せられ関心の高さを実感いたしました。東京国際映画祭では若い映画作家の育成にも力を注いできています。その為にも「日本映画・ある視点」部門は継続してきました。今年も、意表を突いた素晴らしい作品が多く寄せられましたが、その中で現代の

女子高校生のキャラクターを、モノクロームの映像で、巧みに切り取った「ももいろそらを」が作品賞に選ばれました。小林啓一監督、原田プロデューサーをはじめ、FCCJ他、皆さまのご協力に感謝いたします。来年は25回の節目、ぜひご期待頂きたいと思います。

 

矢田部PD:「日本映画・ある視点」は、海外の映画祭にインディペンデントの若い映画作家を紹介する部門として、出品作品の英語字幕をつけるサポートをする事で、海外の映画祭等に招待される事を応援しています。昨年の受賞作品は受賞後、ロッテルダム映画祭を始め、世界中の映画祭で招待され、アメリカでの劇場公開、フランスを初めヨーロッパの数国での劇場公開権が売れるなど実績をあげることができました。

 

Q:2035年という冒頭のクレジットが出ますが、近未来という設定なのに、写されるものが全て現代のものばかりで、けじめがないと感じました。本作には黒澤明監督「天国と地獄」へのオマージュが込められているのですから、煙はピンクにして欲しかった。世界の映画ファンにもそのほうが受けたと思いますが、いかがでしょうか。

 

小林監督:2035年という表記は、いづみが現代を振り返るという設定で入れたテロップです。未来から手紙を受け取っている、という感覚で見ていただけると嬉しいです。本作をモノクロで撮影したのは、現在はすぐに過去になってしまうという事をわかりやすく示すためと、モノクロにする事で、世界は全く違って見えるという事を示したかったためです。煙をピンクにしなかったのは、悩んだところなのですが、ピンクにすると「天国と地獄」そのままになってしまうと考えたのと、ピンク色にすることよりも、いづみたち登場人物の会話の方が重要だと考え、あまり目立つようにしないためにピンクにしませんでした。

 

 

Q:演じられた皆さんは、現役の高校生でもある訳ですが、シナリオを読んだ時に、自分自身と比べて、登場人物のありかたに納得出来たのか、それとも納得出来ないところがあったのか、教えてください。

 

池田さん:いづみという女の子は、口調が荒かったりして、私とは違うタイプでしたので、「普段から口調を荒くするところから始めよう」と思いいづみが行きそうな場所や聴きそうな音楽を、監督に聞いたり、自分で考えたりして、撮影中はいづみになりきっていました。小篠さん:蓮実は、一見普通にいそうな女子高生なのですけれど、実は意外にどこにもいないような素直な女の子だと思います。だから、最近の女子高生という意味で自分の中で受け入れるのに時間がかかりました。「素直な子だ」と受け止めのに時間がかかって、最初は嫌な子だと思っていたのだけれど、台本を読み続けるうちに次第に好きになっていきました。

 

藤原さん:薫は、私よりもだいぶ落ち着いたタイプです。でも、自分として台詞に違和感は感じなかったので、自然と演じられました。

 

高山さん:最初に台本を読んだ時には、簡単に受け入れられませんでした。政治家の息子で大金持ちで、男の子が好きという役で、自分とは違うと思ったからです。しかし、物語が進むにつれて、彼の友情を大事にするところや、いづみを見捨てないところなど、高校生らしい「子どもっぽさ」があったので、自分なりに納得する事ができました。

 

『ももいろそらを』

監督:小林啓一

出演:池田愛、小篠恵奈、藤原令子、高山 翼、桃月庵白酒

新聞の採点を日課にしている高校生・川島いづみは、ある日大金の入った財布を拾う。財布の持ち主を探し当てたことから、話は意外な展開へ…。モノクローム映像と共に高校生の心情を自然体で描く青春の一篇

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