映画『TATSUMI』 舞台挨拶

 

劇画の父と呼ばれている辰巳ヨシヒロの自伝的な諸作品を連結するスタイル、映画『TATSUMI』が東京国際映画祭で上映され、舞台挨拶が行われました。この日は、エリック・クー監督、辰巳ヨシヒロ、別所哲也をはじめ本作の共同制作、音楽などに関わっていただいた8名が登壇。

 

声の出演された別所哲也

 

「皆さん、日曜日の夜遅い時間に、たくさんの方が集まっていただき有難うございます。シンガポール映画『TATSUMI』、この映画は日本の辰巳先生という劇画の父と呼ばれている方を取り上げた作品です。私は、日本にいながら辰巳先生の仕事を不勉強で、知らなかったことがたくさんあるのですが、実際に関わってみていかに世界中で愛されているかを知りました。そして、同時に日本の宝と言われるような辰巳先生の仕事は、アメリカでアイズナー賞という劇画漫画の世界で有名な賞を取っていて、是非日本の皆さんに知って欲しいことです。俳優としても非常に挑戦しがいのある作品でした。6役に出演していますが、どの役柄が僕なのかも楽しんでいただけたらと思っております。」とコメント。

 

エリック・クー監督

 

「私は20年近く辰巳先生の作品に魅せられてきたファンの一人です。2009年に自伝的な作品『劇画漂流』を読んだ時に、辰巳先生を世界に広めるために何かしなければと思い作品を作ることになりました。是非、まわりにも広めて下さい。本品は皆の愛で成り立った映画です。アニメーション、声がないものですから声によって5割は成功にかかっています。それを担ってくれた別所さん。」そして、協力していただいた方々を紹介されました。

 

辰巳ヨシヒロ

 

「エリックさんに出会ってから2年少し、この日が来ることを信じてはいませんでした。20年間、映画化の話がありましたが、途中で流れてしまうのではというトラウマがありました。入学試験の合格発表のようなバクバクした気持ちでいます。エリックさんに感謝しているのですが、あらゆるスタッフの方々にお世話になりました。インドネシアまで行っていました。その感激が未だに忘れていません。実はシンガポールで長々と話して評判が良くなかったので、今日はこの辺で止めておきます。」とシンガポールでのスピーチの失敗談をコメントし、会場に笑いを沸かせていました。

<STORY>

戦後占領下の日本。若い辰巳の漫画への情熱はついに彼の貧しい家族を支える手段にまでなる。10代ですでに作品が出版されていた辰巳だが、崇拝していた手塚治虫と実際に出会ったことから、さらに創作意欲を触発される。順調な成功の裏で、辰巳は日本の漫画が、なぜ可愛くおもしろおかしいストーリーと描写で子供におもねるのかに疑問を感じ始める。1957年、辰巳は「劇画」(ドラマチックな画)という新しい言葉を生み出し、大人向けの別ジャンルを広めることで従来の漫画を再定義する。辰巳の作品は人生のよりシリアスな部分を捉え始める…。

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