映画『26歳、幸せの道』のビル・チウ監督の単独インタビュー

 

8日から開催されている「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」の長編部門国際コンペティション作品『26歳、幸せの道』のビル・チウ監督に単独インタビューをさせていただきました。

 

<映画『26歳、幸せの道』-STORY-

北京で一人暮らしの娘シュンチンが久しぶりに故郷に帰ってくる。何度も通った路地を歩き、側面の壁に触れて懐かしむシュンチン。突然訪ねてきた娘を案じながらも料理を作って出迎える父。冒頭の数分で、父娘の関係とそれぞれの想いが的確に伝わる。端正で見事なオープニング。小さなレンガ工場を経営する父は、年老いても病気がちで、母はすでに他界している。娘は北京で一緒に暮らそうと話すが、父は頑なに断る。シュンチンは北京での恋愛もうまくいってない。シュンチンは仕方なく北京に戻り、父娘の異なる生活が再び始まるが、間もなく父の具合が悪化する。どこにでもありそうな親子の物語である。シンプルな内容だけに自分や周囲の誰かと重ねる人も少なくないだろう。全編を通じて光と影のコントラストが効果的。陰影の美しさが二人の内面を映し出し、哀感を誘う。終盤はシュンチンの喪失感が広がっていく。

 

監督デビュー作『26歳、幸せの道』のノミネートおめでとうございます。この作品はどこにでもありそうな親子の物語を例にして、自分お愛する者に対して、重ねて観る人が多いと思います。自分に重ねてみて心にジーンとくるものがありました。とても共感できる作品だと思います。

 

 

Q:今回の『26歳、幸せの道』では、長い時間バスや列車に乗る映像がありましたが、作品のロケ地は北京からどれくらい離れている場所ですか?

A:海南島です。北京から飛行機で4時間、列車ですと30時間くらいかかります。ロケ地は主に北京と海南島です。自分は海南島出身です。のどかで田園風景も綺麗なところです。

 

Q:レンガ工場を経営する父。レンガに誕生日のメッセージを書くというレンガにこだわる理由、父親が亡くなる間際に、手形のレンガを作りましたが、手形にした意図は?

A:お父さんはレンガ職人で手先が器用な人で、娘に何をプレゼントしていいかわからないので、自分がレンガ作りに関わっているため、レンガを贈ることが良いとお父さんが勝手に思っている。レンガに何歳おめでとうとメッセージを書いていたのは、娘が幸せになって欲しいという願いからレンガにメッセージを書いた。娘から考えると、何でレンガばかり贈ってくるのかがよくわからなかった。最後に手形にしたのは、手というのは自分の手を使ってレンガ作りをしますし、レンガ工場があるから娘を北京の学校へ行かせることができた。レンガはただのレンガではなく、お父さんにとっては娘への期待とか愛とか全てが含まれています。

 

Q:シュンチンがピン兄さんと呼ぶピンの役割は、娘と父以外にも重要な役目なのですね?

A:そうですね、ピン兄さんはシュンチンとお父さんの橋渡し役になります。彼が一緒だとシュンチンはよく笑顔をみせますし雰囲気が和む。お父さんと二人だと緊張してしまう。ピン兄さんはシュンチンに対しての気持ちが複雑で、兄妹みたいであり片思いであり、しかし住む世界が違うということも理解している。そんな複雑な気持ちを演じています。

 

Q:言葉にしない演技が多くて表情で表現しているのも凄いと思い、凄い役者だと思いました。

A:ピンを演じた俳優とは長く一緒に仕事をしていたのです。ある日、映画についてプロデューサーと話していたら、彼が近くに座っていて、ふと彼を見たらピン役にピッタリだと思いました。非常に笑顔が素朴で素敵ですし、彼は農村出身でしたのでよかったと思います。ただ私たちにとっても意外だったのは、そこまで演技が上手いとは思わなかったのです。本当に評判が良くて、皆さんの評価が高かったので、帰国しましたら必ず彼に電話して伝えておきます。

 

Q:もしも日本を舞台にして、映画を撮るとすれば何処で撮りたいですか?

A:東京は面白いところだと思います。実は、昨日渋谷へ行きまして駅前に2時間座って人間ウォッチングしていました。交差点で行き交う人を見て一人一人個性的だなと思いました。まるでファッションショーを見ているようだなと思いました。撮れるテーマもたくさんありますし、撮れる機会があれば日本で撮ってみたいと思います。

 

Q:今後どのような作品を作っていきたいですか?

A:生活感や人間関係を取り上げるようなことも興味がありますし、社会の底辺で暮らしている人達にも注目していますので社会をテーマにしたものも興味があります。

 

Q:それでは次の作品も準備されているのですか?

A:今脚本を書いている最中で、恋愛もので今度は親子関係ではなく、男女間のものを考えて準備している最中です。

 

単独インタビューでは、ビル・チウ監督の素顔が見れ、次回作も準備中ということ。今後の作品も男女間をテーマにしているとのことで、大いに期待したいと思いました。そして、映画の作品の話になると真剣な眼差しで語っていただきました。上映後も会場外では来場者の問いに丁寧に答える姿もビル監督の人柄かと思いました。『26歳、幸せの道』は、香港文化発展局からの投資で完成された作品。観客がそれぞれの愛する者との関係を振り返り考えさせられる作品でした。

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